2016年4月18日月曜日

『ボーダーライン』

『ボーダーライン』
「メキシコ国境の街”フアレス”
そこは、麻薬と汚職にまみれた無法地帯-」
誘拐即応班を率いる女性FBI捜査官が
畑違いの巨大カルテル壊滅作戦の
一員として任命される。
具体的な作戦の内容が知らされないまま、
メキシコ・フアレスで彼女は渦中に巻き込まれていく…
・原題は「SICARIO(シカリオ)」
はじめに言葉の説明があるので覚えておくと
最後の最後に「…おー…シカリオだった…(納得)」となる。
邦題ボーダーラインは内容的にも出てくるからわるくはないけど、
そういうおもしろさから言えば原題が上。
・不穏な音楽、立体的な音響
こわい映画だと、びっくりさせる系(急に音をたてるなど)が
使われることもあるけど、これは「なにか得体のしれない音が
聴こえている」系。
下記予告編の頭のがそれです。
銃撃戦では遠くで弾が発射され、それが飛んできて近くに
被弾している音や登場人物の荒い息遣いが耳元で聞こえたりする。

映画館にいるのか本当に銃撃戦に巻き込まれているのか
ふと分からなくなるのが恐ろしい。
・一筋縄ではいかない面構えの俳優陣
女性FBI捜査官役エミリー・ブラントは『プラダを着た悪魔』で
先輩アシスタント役をやっていたけど、近頃安定の女性戦士役。
死んだ目をしたおじさん(ベニチオ・デル・トロ)と、
にまにましたおじさん(ジョシュ・ブローリン)の、
「氷山の隠れているところ」が底知れなくてこわい。
現実に周りにいて欲しくないタイプだが、
こういうことにはこういう人がいないとねぇ…
適材適所とはよく言ったものだ。
知らない間にいつもまにかひねられていて、
最終地点に着く頃には呆然。
世の中に存在する悪となぜそれが存続しているか、
調べれば調べるほど無くせる気がしない。
共感とか楽しいとか得られるものがあるという作品では
ないけれど、おすすめです。
なぜなら世界は自分が見ているところより
見えていないところのほうが面積が大きいのだから。